受付嬢からスタートアップ。私が起業した理由。
初めまして。
iPad無人受付システム「RECEPTIONIST(レセプショニスト)」を開発・ご提供しているディライテッド株式会社の橋本真里子と申します。
ブログを御覧くださっている方に、これから私の色んな部分を知って頂くために、まずは自己紹介をさせて頂きます。
中高とテニスに勤しむ体育会系女子でした。
大学に進学するタイミングで上京致しました。
最初に企業に就職をしたのが2005年。
自分の性格や経験を活かし、企業で働くにはどういった職種が良いのだろうと考えた結果、「企業の受付」という結果にたどり着きました。
受付デビューはトランス・コスモスというIT系の企業です。
受付スタッフが10名近くいる大きな受付でした。
総合受付と来客フロア受付の2カ所があり、ここで「受付としての心得や基礎」を学ばせてもらったと思います。仕事ができ、プロ意識の高い先輩方に出会えた事が、のちの私の受付人生に大きな影響を与えてくれた事に間違いありません。
入れ替わりがわりと激しい受付だったので、先輩ばかりだと思っていたら、いつの間にか私よりもあとに入ってくるメンバーがどんどん増え、教わるから教えるという環境にいつの間にか変わっていました。
そして、ここでの経験が受付の仕事を愛し、ITの素晴らしさを知る第一歩。
1社目でサブリーダーまでやらせて頂きましたが、『もっとこの仕事を極めたい!』と思い、また違った環境に飛び込もうと転職致しました。
そこで出会ったのが株式会社USENです。
USENがミッドタウンに移転をするタイミングで、受付のオープニングスタッフを募集していたのです。USENの受付と言うのは受付業界では有名でした。
(どう有名だったのかはまた別の機会に・・・)
そこに飛び込むのは勇気も必要でしたが、またとないチャンスだと思い応募し、無事に採用していたただいたのです。
オープニングと言う事もあり、トランス・コスモスの先輩方が作り上げられて受付とは違い、ゼロから作って行くという全く違う環境でした。スタッフがのべ10名以上という大所帯。そこで発のリーダーを任せて頂き、とにかく色んな業務をやらせて頂いた事が印象的です。
ここでは、メンバーの先頭に立ち、仕組みをつくり、伝え、引っ張って行くということを学びました。1年と言う短い期間でしたが、ここでの経験も何事にも代え難い貴重な経験をさせていただたと思っています。
実は「USENを1年で辞めた理由」は、父が病気になったことが理由です。
働きだして間もない時期に父の病気が発覚し、三重に居る母と、私は週末に帰って看病をするという生活をしてきましたが、そこには色んな限界が生じました。
USENで働くという貴重な時間を手放すのはとても心苦しかったですが、受付はもう他のスタッフに任せられている状態でしたし、父との時間は限られていると思い、退職し、実家に帰りました。
そして間もなく父は旅立ちました。しばらくは母のそばで生活し、日常が少しずつ戻って来た頃、受付の仕事をまた続けたい!と思い、再度東京で受付のお仕事を探します。
この頃の私はもうIT企業の受付の虜でしたので(笑)、主に『IT企業の受付がいいなー』と探していたところ、SNSで日本最大だったミクシィの受付の募集がありました。
ご縁あり、無事に採用していただき、ここから3年半という長い間お世話になります。
ミクシィは2名体制の受付でした。
今までの受付に比べると小規模な受付。ご来客は多かったものの、2名で過ごす受付はまた時の流れが違い、社員の方々との距離が近くゆったりとご来客を迎えられる環境です。
この3年半過ごす中で、日々思う事はありました。
とても働きやすく恵まれた環境で過ごせている事はとても有難い。でも、ここの受付で今までと違ったスキルを身につけましたか?と聞かれると、『これです!』と胸を張って言える事がなかったのです。
履歴書には上場企業の受付で3年半勤めましたと書けるけど、『じゃーどんな事をしたの?』と聞かれたときに、今までの企業に比べて自分じゃないと出来ない価値を提供出来てないと思いました。
色んな事が重なり、次のステップへ踏み出す事となります。
そして私が受付として最後に関わらせて頂く事になった、GMOインターネット株式会社に出会う事になるのです。
業種・採用されるポジション・場所・受付規模・・・何をとっても自分はここで働く為に受付の経験を積んで来たんだ。受付の集大成だなと思いました。
そのときに私はもう30歳。
受付の現場としてのキャリアはここが最後だと思い、GMOでのキャリアをスタートしたのです。
これはGMOで一緒にお仕事をさせて頂いた上司にも直接伝えていたので書きますが、とにかくひどかった。。。受付人生の中で一番苦労しました。
モチベーションが低い。
所作が雑。
オペレーションも悪い。
リーダーが不在だったため、統率が取れていない。
我が我がのわがまま。
ここに何をしに来ているんだろう。受付としてというより、まず社会人として恥ずかしくないのかな
と、そう思いました。
それと同時に、きっと私がここに来た理由は、そんな全てを変える為だったんだなと感じました。
良く言われますが、「受付は会社の顔」。
会社の印象を決めると言っても過言ではない部署がこれでは勿体ない。
最初はとにかくコミュニケーションを取りました。受付スタッフ、上司、総務のスタッフ、それ以外でも受付に関わる人たちすべて。それぞれの考えや性格を把握した上で動くのが一番効率がいいと感じたからです。
USENで働いていたときも同じような経験がありました。
非常に珍しいケースだと思いますが、受付スタッフは1日6名必要でした。そのうちの4名が固定で残りの2名はグループ会社に芸能事務所があったので、そこから日替わりで就業していたのです。
アルバイト感覚で来ていたスタッフが多かったため、やはりモチベーションの差が激しかったのですが、その時に学んだ事がGMOで活かせました。
みんなを同じモチベーションにするのは無理がある。でも同じ方向を向いてくれたら、きっとまとまる。一緒に進んで行ける。という事です。
同じ方向を向いてもらうには、自分が一番動いて、見本になって、その背中をまずは見てもらって、そこから折に触れてコミュニケーションを取り、信頼関係を築き少しずつではあったけど、まとまりが出てきました。
それでも自分に合わないと感じたメンバーは自ずと去って行く。そしてまた新しいメンバーが入ってき、色んなものが少しずつ浄化されて行く。この繰り返しだったと思います。
理不尽な想いもたくさんありましたし、ある事ない事言われたりもありましたが、今では笑い話ですが、それでも弱音を吐かずに毎日会社に前向きに行けたんです。
やりがいがあった。勉強になった。自分の愚かさを知った。でも強くなった。仕事する喜びをもらった。受付をやってきてよかったと思える事をたくさん感じられた。自分にしかできない仕事だと毎日感じた。来訪でいらっしゃるお客様にも覚えてもらい、IT企業を渡り歩いていたので、私が働く先々に同じお客様がいらっしゃって、「ここでも会ったね!」なんて会話をいろんな受付でしたことも印象深いです。
きっとその頃には名物受付嬢だったと思います(苦笑)
とにかくたくさんの経験をさせて頂きました。GMOで働いてなかったら、起業にも至ってなかったと思います。それくらい濃い経験をさせて頂きました。
GMOを辞めるなんて考えたくなかったですが、受付という職業は他のお仕事に比べて非常に有限なお仕事です。次のキャリアを考えるように自然となりました。
一緒に頑張って働いて来てくれた受付メンバーがとても頼もしく成長し、私がこのままここに居たら、みんなの次の成長につながらない。それは私自身に対してもそうでした。
「とっても素敵な受付になった・・・!」
どこに出ても恥ずかしくない受付になった。
そう思った時に、受付の経験を生かした次のキャリアを考えました。
もちろん、GMOでそういったお仕事をさせて頂くのも一つの道でしたが、次のキャリアを考えだしたときに、今までの社会人生活(=受付人生)を振り返ったんです。
もう私は受付デビューして10年近かった。
『10年かぁー・・・。長い。』
こんなに長い間続けさせてもらえたことが感謝でした。雇ってくれる会社があって、続けられる環境があって、一緒に頑張ってくれるメンバーが居て・・・。
こんな風に受付の仕事を愛し、誇りを持って10年以上続けて来たのは私の最強のスキルなんじゃないか。これは自分一人で身に付けたものじゃない。であれば、『このスキルをきちんと形にして、世の中の役に立ちたい!今まで支えてくれた方々に恩返しがしたい!!』これが起業への道のスタートでしたきっかけです。
1年から2年かけ、受付以外の時間をビジネスプランを練り、起業するにはどうしたらいいのか勉強し、GMOをきちんとした形で退職する準備などに時間を費やしました。非常にありがたいことに私が働いて来た会社はベンチャー企業ばかりです。
起業家の方もたくさんいらっしゃいましたし、ここ数年で「スタートアップ」「ベンチャーキャピタル」「エンジェル投資家」と言ったような起業するには整った環境が身近に感じられる時代になってました。
基本的に受付と言う職業は派遣という雇用形態でお仕事をさせて頂く事が多かったんです。「よく起業する勇気あったね」「受付から起業なんてよくやったね」なんて言われる事もありますが、逆に失うものがなかった。このままの続けていてもいつかは違う事をやらなきゃいけなくなる。だったら今やろう。やりたい事が見つかった!
そして色んな方に背中を押してもらいました。これまたありがたい。
こうして、私は起業と言う道に進む事になります。